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これは、太陽や満月、そして地球が生まれたばかりのときのお話です。
満月はいつも一人でした。
満月は静かに、美しく、艶やかに光っています。その絶対的な美しさには、他の星たちは勝てませんでした。
他の星たちは満月のことを疎ましく思っていました。
そんな満月は、ロッドスター(北極星)からとある話を聞きます。
「君が沈んだ後にでてくる、すっごく明るい星があるんだ。その星の名は太陽。どの星であろうと、太陽が出れば姿を消さずを得ない。でも、地上はどうだ。太陽のお陰で明かりを、暖かさを得られる。他の星も、その明るさには一目置いてるのさ」
満月は太陽を見ることができません。太陽がでるとともに、必ず沈まないといけないからです。
満月は、太陽のことを想像することしかできません。
考えて、考えて、そして考えているうちに、いつのまにか満月は、この暖かで神秘的な太陽のことを好きになっていました。
そして、太陽もまた、北極星から話を聞きます。
「君が出てくるまで夜を照らす、一人ぼっちの美しい星がいるんだ。彼女は月って言うんだけど、その美しい形、光ゆえにみんなからは疎まれてるんだ」
太陽は満月を見ることができません。太陽が沈むとともに、満月が昇ってくるからです。
太陽は、満月のことを想像することしかできません。
考えて、考えて、そして考えているうちに、太陽もまた、安らかで優しい満月に想いを馳せていました。
二人が生まれて、初めて恋した相手は今まで姿を見たことが無い相手でした。
しかし、これから何十、何百億たとうとも二人がであうことはありません。
満月の深い悲しみから落ちた涙は、雨となり地球に降り注ぎました。
太陽の強い慟哭は、風となり地上に地球を吹き荒れました。
そうして、植物がうまれ、動物がうまれ、人間が生まれました。
二人が恋に落ちて45億年ほど経っていました。
人間で言えば、38歳ほどです。もうまもなく人生の折り返し地点です。
あと50億年後、二人は会えないまま、太陽の寿命と共に地球もろとも消滅します。
太陽はいまわの際に大爆発するからです。
太陽と満月はその最期の瞬間、初めて出会えました。
「長かった俺の人生、今、ようやく君にあえて、俺はすごく嬉しい」
「長かった私の人生、今、ようやく貴方にあえて、私はすごく嬉しい」
次の瞬間にはそこには何も残っていませんでしたが、二人の想いはしっかりと残っていました。
一部始終を見ていた神様は役目を終えもどってきた太陽と満月の記憶を残したまま、もう一度時間を戻してあげました。
でも、今度は満月と太陽は出会うことができるのです。なぜかって?
三日月や半月が出てるときに空を見上げてごらん。
了